第60章 田中未菜を告発します

「橘結衣、まだ戻ってこないの?」

風呂上がりの山口愛実が洗面所から出てくるなり、市川詩織をちらりと見た。

「詩織……高田武たち、まさか橘結衣を殺しちゃったとかないよね?」

その言葉に、市川詩織は眉をきゅっと寄せる。

武の連中は加減というものを知らない。橘結衣が相手になるはずもないし、もし本当に死なせたり大怪我させたりしたら面倒になる。

なにより、橘結衣は橘家の人間だ。

「……連絡してみる」

市川詩織はスマホを取り、指を素早く動かした。

【武さん、やりすぎないで。腕時計を取れればそれでいいから】

送信。

けれど返信は来ない。まるで石を海に投げたみたいに、静まり返ったままだっ...

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